「アルコール」…健康との関係でいろいろなたとえがされる嗜好品です。例えば「酒は百薬の長」…お酒を嗜むことでいろいろな病気を防ぐことができる、すなわち「アルコール善玉説」の代表格ですね。反対に「アルコール」と聞くと例えば「肝臓を傷める」など「健康によくない物」の代表格として忌み嫌われる場合もあったりします。「アルコール悪玉説」ですね。このように賛否両論あるのがアルコールではないでしょうか。
飲酒をすると身体の中の血管が広がり、体が暖かくなってきます。また、少し飲み進めると気持ちが大きくなり、イヤなことを忘れてしまう作用がありますよね(ちなみに私はお酒が飲めない体質なのでなかなかこの境地に達するのが難しいですが…)。このように飲酒には決して悪いとは言えない作用もたくさんあります。例えば「Jカーブ理論」というのがあるのですが、全くお酒を飲まない方よりも少しお酒を飲む方のほうが心臓血管病が少ない、というデータもあったりします。決してアルコール摂取が健康に対しての「悪の権化」という訳ではなさそうです。ただ、一定量を超えて飲み過ぎてしまうとかえって心臓血管病が増えてしまう、という理論でもありやはり「飲み過ぎ」には注意は必要ですね。
アルコールの処理には肝細胞の「ミトコンドリア」という部分が大事になります。このミトコンドリアという構造は体のほとんどの細胞に存在し、酸素を取り込むことで細胞の中にエネルギーを作り出す重要な構造物です。このミトコンドリアに過剰な負荷がかかると細胞が酸欠状態になり、障害の原因になります。このためアルコール性肝障害の場合は酸素の少ない静脈に近い部分の肝細胞から障害を受けやすくなります。