生活習慣病

糖尿病―怖い病気というのは知っているけれど…

皆さんは「糖尿病」というとどんなイメージを持たれるでしょうか。「太りすぎ、食べ過ぎで起こるおしっこに糖が混じる病気。生活習慣病の一つで怖い病気」と言った所でしょうか。少し病気のことを知っている方であれば「腎臓が悪くなって透析をしなくてはいけなくなったり、失明をすることがあったり、足が腐って切断しなければならない病気」という知識を持たれている方もいらっしゃると思います。

糖尿病は単に「尿に糖が出る」「血糖が高くなる」という簡単な病気ではありません。糖尿病はある意味「全身の血管病」ということが言えるかもしれません。例えば網膜(目の奥にある見た物を映すスクリーンの役割を果たす膜)にある血管に影響を及ぼすことで失明の原因になったり、腎臓の血管に影響を及ぼすことで蛋白尿から腎機能障害、最終的には腎不全に伴い透析が必要となったり、また足の血管に影響を及ぼすといわゆる壊死(足の皮膚や筋肉などの血流がなくなり、組織が腐ってきてしまうこと)、それに引き続いて糖尿病患者は感染にも弱い、という特性もあり、血流がなくなった場所に細菌が感染して、切断せざるを得なくなる、と言ったことが起こってきます。また、やや太い血管に動脈硬化を起こすことで、心筋梗塞や脳梗塞の原因になったりします。

糖尿病の怖い所は、このような深刻な合併症を起こすにも関わらず特に発症初期にはほんど症状がなく進んでしまうことです。現在糖尿病の領域は研究が非常に進み、血糖を下げるホルモンであるインスリンを分泌する膵臓以外に働くことで、低血糖を起こすことなくうまくコントロールが可能となる薬剤もたくさん開発されています。「糖尿病」と診断されれば無症状だからといって甘く見ることなく、きちんと病院で一度診てもらうことが重要と考えます。